「AIにAIの手の内を読ませる」は可能か?相場を動かすアルゴリズムの正体

AI投資

管理人より:AIが市場を動かす時代なら、AIにAIの手の内を読ませればいいのでは? 一見、説得力のあるこの発想を、ナビネコ君と山田さんが掘り下げていきます。結論から言うと、前提からして少し違っていました。


「AI対AI」なら、AIに読めるはず?

山田さん
山田さん

ナビネコ君、ふと思ったんだけど、今の株の売買ってAIとかアルゴリズムがたくさん動かしてるんだよね? だったら、こっちもAIを使えば、相手のAIが何を考えてるか読めたりしないのかな?

ナビネコ君
ナビネコ君

面白い発想にゃ。でも、そこには実はいくつか誤解が混ざってるにゃ。順番に整理していくにゃ

そもそも、相場を動かしてる「AI」って何なのか

山田「相場の売買って、そんなにAIが多いの?」

ナビネコ「取引の中で機械的に処理される割合は、実際かなり大きいにゃ。ただ、ここでいう『機械的な取引』の中身を詳しく見ると、山田さんが想像してるような『自分で考えて判断するAI』とは、だいぶ性質が違うにゃ」

山田「どういうこと?」

ナビネコ「高速取引(HFT)の主な戦略は、大きく分けて『マーケットメーカー戦略』と『裁定取引』の2つと言われてるにゃ。これ、どちらも昔から人間がやってきた手法が、そのまま機械化されただけのものにゃ」

山田「新しい発明というより、昔からある作業をひたすら速くしただけ、ってことか」

ナビネコ「そうにゃ。しかも、この世界では『速さこそが命』だから、判断に時間がかかるAI(機械学習モデルなど)は、実はリアルタイムの取引判断にはあまり向いてないにゃ。むしろAIは、事前の戦略づくりやチューニングといった、時間をかけられる部分で使われることが多いにゃ」

山田「え、じゃあ実際に一瞬で売買してるのは、AIっていうより、もっとシンプルな機械的ルールなの?」

ナビネコ「そういうことにゃ。実務家の指摘でも、『執行アルゴリズム同士がぶつかり合う機械同士の戦い』に見えても、その戦略の中身自体は人間が決めていて、マーケットメーカーの動きも人間が設計したシンプルなルールに基づいてることが多い、と言われてるにゃ。いわば『人間が、機械同士を戦わせている』というのが実態に近いにゃ」

山田「思ってたより、AIが自分の意思で暴れ回ってるわけじゃないんだね」

じゃあ「AIがAIを読む」は不可能なの?

山田「じゃあ、AIに他のAIの考えを読ませる、っていう発想自体が間違ってたってこと?」

ナビネコ「完全に間違ってるとまでは言わないにゃ。ただ、前提を修正する必要があるにゃ。相手が『意思を持ったAI』というより『大量の、比較的シンプルなルールに基づく自動売買』だとすると、読むべきはAIの”考え”じゃなくて、その自動売買が生み出す、価格や出来高のパターンにゃ」

山田「それって、結局チャートを見るのと同じじゃない?」

ナビネコ「そうにゃ、まさにそこが今回の面白いオチにゃ。『AIにAIを読ませる』を突き詰めていくと、結局は価格・出来高のパターン分析、つまり以前話したダウ理論や王道チャートパターンの話に戻ってくるにゃ」

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山田「一周回って、結局そこに戻ってくるんだ」

ナビネコ「そうにゃ。ただし、大事な違いが一つあるにゃ。昔のテクニカル分析は『大勢の人間の心理(恐怖や欲)が、繰り返しパターンを生む』という前提で組み立てられてたにゃ。でも今は、その主役の一部が人間からアルゴリズムに置き換わってるにゃ」

山田「人間の心理じゃなくて、アルゴリズムの挙動でパターンができてるってこと?」

ナビネコ「そういう見方もできるにゃ。例えば、大量の注文をさばく執行アルゴリズムは、特定の時間帯にまとまった売買を出しやすかったり、決まった水準(節目の価格)付近で反応しやすかったりするにゃ。これは人間の感情とは違う理由で生まれる、新しい種類のパターンにゃ」

本物のAI(生成AIのような仕組み)はどこで使われているのか

山田「じゃあ、今流行りの生成AIみたいなものは、相場ではどう使われてるの?」

ナビネコ「そこは、一瞬の売買判断というよりも、もう少し長い時間軸の意思決定に向いてるにゃ。決算資料の読み込み、ニュースの分析、ポートフォリオ全体の設計、といった『時間をかけてじっくり考える』領域にゃ。これは、以前紹介した決算書攻略やDeep Researchの話とも重なる部分にゃ」

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山田「一瞬の売買はシンプルなアルゴリズム、じっくり考える部分は生成AI、って役割が分かれてるんだね」

ナビネコ「そういう住み分けになってるにゃ。だから『AIがAIを出し抜く』というより、『人間が設計したシンプルなアルゴリズムの癖を、AIを使って分析する』というのが、今できる一番現実的なアプローチにゃ」

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結局、個人投資家はどう向き合えばいいのか

山田「じゃあ、僕らがAIを使って対抗する意味はあるの?」

ナビネコ「意味はあるにゃ。ただし、『AIの心を読む』という魔法みたいな話じゃなくて、地道に『大量の売買データの中から、機械的な挙動のクセを見つける』という、これまで通りの分析の延長にゃ。むしろ、AIが得意なのはまさにこの『大量のデータから、人間では気づきにくいパターンを拾い上げる』作業にゃ」

山田「魔法みたいな必殺技じゃなくて、地味な作業をAIに手伝ってもらう、っていう現実的な話に着地するんだね」

ナビネコ「そうにゃ。派手な発想ほど、掘り下げていくと意外と地味な基本に戻ってくる、といういい例にゃ」


管理人より:「AIが相場を動かしているなら、AIで読み解けるはず」という発想は魅力的ですが、実際の高速取引の多くは、意思を持ったAIというより、人間が設計した比較的シンプルなルールの高速な実行です。個別の取引アルゴリズムは非公開であるため、外部からその「意図」を直接読み取ることはできません。AIを使ってできるのは、あくまで公開されている価格・出来高データからパターンを分析することであり、これは従来のテクニカル分析の延長線上にあるものです。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の取引手法や商品を推奨するものではありません。

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