管理人より:新しい技術が登場するたびに「これで世界が変わる」という言葉を、投資の世界では何度も目にしてきました。今回は、約10年前に大きく期待された業種を振り返り、実際にどうなったのかをナビネコ君と山田さんが検証していきます。
「あれ、結局どうなったんだっけ」

ナビネコ君、最近ふと思い出したんだけど、10年くらい前に『3Dプリンターがこれから家庭に普及する』みたいな話、すごく盛り上がってなかった? あれって結局どうなったの?

よく覚えてるにゃ。あれはまさに『期待が先行しすぎた業種』の代表例にゃ。今日はそういう『来ると言われて来た業種』と『来ると言われたけど来なかった業種』を、実際に振り返ってみるにゃ
来なかった業種①:3Dプリンティング
ナビネコ「3Dプリンターは2012〜2014年ごろにかけて、株式市場でもものすごい人気だったにゃ。『これからは工場を通さずに、家庭やオフィスで何でも自分で作れる時代が来る』という期待で、関連銘柄(3D SystemsやStratasysなど)の株価は数年で何倍にも跳ね上がったにゃ」
山田「そんなに人気だったんだ」
ナビネコ「そうにゃ。ただ、そこから風向きが一気に変わったにゃ。2015年に入ると、期待されていたほど法人需要も家庭需要も伸びず、両社の株価はその年だけで6割以上下落したにゃ。『すごい技術ではあるけど、みんなが思ってたほど早く、広くは普及しなかった』というのが実際のところにゃ」
山田「その後、株価ってどうなったの?」
ナビネコ「これが結構すごいにゃ。Stratasysは2014年1月時点で1株136ドルくらいまで買われていたんだけど、2026年時点では1株9ドル前後にゃ。10年ちょっとで9割以上値下がりしてる計算にゃ。3D Systemsも同じように急落して、今は時価総額が3億ドル台という、かつての勢いからは考えられない規模まで縮んでるにゃ」
山田「9割減って、当時買った人からするとかなり厳しい結果だね……」
ナビネコ「そうにゃ。だからこそ、『話題になってるから』というだけで飛びつくことの怖さを表してる例でもあるにゃ」
山田「今も3Dプリンターってあるけど、当時イメージされてたほど身近にはなってないもんね」
ナビネコ「そうにゃ。工業用の試作品づくりや医療分野など、特定の用途ではしっかり定着したにゃ。でも『一家に一台、何でも自分でプリントする時代』というイメージほどの広がり方はしなかったにゃ」
来なかった業種②:完全自動運転
山田「自動運転もよく聞いた気がするな」
ナビネコ「これも典型例にゃ。2015〜2016年ごろの業界レポートや専門家の予測では、『2020年には完全自動運転が実現する』という声がかなり多かったにゃ。東京オリンピックに合わせて、無人の自動運転車が街を走る未来がよく語られてたにゃ」
山田「2020年って、もう6年前だよね。今、完全に自動運転の車が街を走ってる感じはしないな」
ナビネコ「そうにゃ。実際には、特定のエリアで監視付きの自動運転バスが走る実証実験や、一部都市でのロボタクシーといった限定的な形にとどまっていて、『どこでも誰でも使える完全自動運転』にはまだ届いていないにゃ。技術自体は着実に進歩してるんだけど、当初の予測ほどのスピードでは実現しなかった、というのが実情にゃ」
山田「技術の方向性自体は間違ってなかったけど、時間軸の見積もりが楽観的すぎたってことだね」
ナビネコ「まさにそこがポイントにゃ」
来なかった業種③(おまけ):VR・メタバース
ナビネコ「あともう一つ、VR(仮想現実)にゃ。2014年にFacebookがOculusを巨額で買収したときは、『これでゲームだけじゃなく、あらゆる体験がVRに置き換わる』という期待が高まったにゃ。2021年ごろには『メタバース』という言葉で、もう一段大きな期待の波が来たにゃ」
山田「メタバースって単語、少し前によく聞いた気がする」
ナビネコ「そうにゃ。ただ、こちらも当初思い描かれていたほどの日常的な普及には至っていないにゃ。ゲームや一部の企業研修などでは定着したけど、『生活の中心がVR空間に移る』というレベルの広がりはまだ実現していないにゃ」
来た業種:EVと再生可能エネルギー

逆に、当時の予測通り、あるいはそれ以上に伸びた業種もあるの?

あるにゃ。代表的なのはEV(電気自動車)と太陽光を中心とした再生可能エネルギーにゃ。EVはTeslaを中心に、2015年ごろから着実に販売台数を伸ばして、今では多くの自動車メーカーが主力ラインナップに据えるまでになったにゃ。太陽光発電も、発電コストが年々大きく下がり続けて、導入量も右肩上がりで増えてきたにゃ
山田「Teslaの株価も、そのぶん上がったんだよね?」
ナビネコ「にゃ。直近5年間だけで見ても株価はほぼ倍(+99.8%)になっていて、時価総額でも世界の自動車メーカーの中でトップクラスにまで成長したにゃ。3Dプリンターの会社が9割減った一方で、EVの代表格は逆に大きく増えてる、という対照的な結果にゃ」
山田「同じ『次に来る』と言われた技術でも、ここまで結果が違うんだね」
ナビネコ「そうにゃ。ただし、これも『期待通りのスピードだったか』で言うと意見が分かれるところにゃ。EVについても、当初は『もっと早く、もっと急速にガソリン車を置き換える』という強気な予測をしていた人も多かったにゃ。実際には、需要の伸びが一時期鈍化する局面もあったにゃ」
「来た」とも「来なかった」とも言える業種:ブロックチェーン
山田「そういえば、ブロックチェーンも当時よく聞いたキーワードだよね。あれはどっちなの?」
ナビネコ「ブロックチェーンは、実はこの中で一番『両面がある』ケースにゃ。まず、ビットコインなど暗号資産そのものの価格だけで見ると、ものすごいリターンにゃ。2016年2月ごろ、1BTCは日本円で5万円くらいだったんだけど、2026年2月時点ではおよそ1,000万円前後で推移してるにゃ。単純計算で、10年でおよそ200倍にゃ」
山田「200倍!? それはとんでもない数字だね」
ナビネコ「そうにゃ。ただし、ここが大事なところにゃ。値動きは一直線じゃなくて、2017〜2018年のバブルとその崩壊、その後の乱高下を何度も繰り返しながらの200倍にゃ。当時高値づかみして、その後の暴落で大きな含み損を抱えた人も大勢いたにゃ」
山田「資産としての暗号資産は大きく育ったけど、そこに辿り着くまでが相当激しかったんだね」
ナビネコ「そうにゃ。それともう一つ、当時よく言われてた『ブロックチェーン技術そのものが、あらゆる業界を根本から変える』という期待の方は、正直に言うとそこまで広がらなかったにゃ。企業が実証実験としてブロックチェーンを試すケースは多かったんだけど、実際に本格運用まで進んだ事例は限られていて、静かに立ち消えになったプロジェクトも少なくないにゃ」
山田「じゃあ、『資産としてのビットコイン』は大成功だったけど、『技術としてのブロックチェーン活用』は思ったより広がらなかった、っていう風に分けて見る必要があるんだね」
ナビネコ「まさにそういう整理にゃ。同じ『ブロックチェーン』という言葉でも、何を指して期待していたかによって、結果の評価がまったく変わってくる、面白い例にゃ」
来なかった業種④:NFT
山田「ブロックチェーン関連だと、NFTも一時期すごい盛り上がってたよね」
ナビネコ「NFTは、この記事の中でも特に短期間で天国と地獄を見た例にゃ。2021年、著名アーティストBeepleのNFT作品が約75億円で落札されたのをきっかけに、一気に世界的なブームになったにゃ。『NFTがアートやゲーム、あらゆるデジタル資産の当たり前になる』という期待が一気に膨らんだにゃ」
山田「猿の絵のNFTとかも話題になってたよね」
ナビネコ「それがBored Ape Yacht Club(BAYC)にゃ。2022年5月には最低価格(フロア価格)が145ETH相当まで買われたにゃ。ただ、そこから雲行きが変わったにゃ」
山田「どれくらい下がったの?」
ナビネコ「NFT市場全体で見ると、月間の取引額は2022年1月の約60.5億ドルから、2025年12月には約3億ドルまで縮小していて、ピーク比で約95%の減少にゃ。時価総額でも、2022年4月の約168億ドルから2026年1月には約28億ドルまで、8割以上下落してるにゃ。BAYCも、2021年のピークと比べて価値が9割ほど下落したと言われてるにゃ」
山田「95%減はさすがにすごい下落幅だね……」
ナビネコ「そうにゃ。しかも今回のNFTは、3Dプリンターや自動運転と違って、下落までのスピードがかなり速かったのが特徴にゃ。ブームからわずか1年ちょっとで、市場規模が10分の1以下になったにゃ」
山田「盛り上がるのも早かったけど、しぼむのも早かったんだね」
ナビネコ「そこがNFTの怖いところにゃ。ただし、企業のロイヤリティプログラムやイベントのチケット、会員証など、投機目的とは違う『実用的な使い道』としての活用は今も続いてるにゃ。派手なブームは去ったけど、技術自体が完全に消えたわけではない、というのが正確なところにゃ」
なぜこの差が生まれるのか
山田「同じように期待された業種なのに、なんでここまで結果が分かれるんだろう」
ナビネコ「これ、実は『ハイプサイクル』っていう考え方で説明されることが多いにゃ。新しい技術が登場すると、まず過剰な期待で盛り上がる時期が来て、そのあと現実とのギャップに気づいて一気に幻滅される時期が来て、そこを乗り越えたものだけが、地に足のついた形でゆっくり普及していく、というパターンにゃ」
山田「3Dプリンターや自動運転は、その『幻滅期』でまだもがいてる、ってことかな」
ナビネコ「そういう捉え方もできるにゃ。技術そのものがダメだったわけじゃなくて、単純に『実用化・普及までにかかる時間』を、当時のみんなが楽観視しすぎてただけ、というケースが多いにゃ。これ、以前話したダウ理論の『トレンドは明確な転換シグナルが出るまで続く』という考え方にも近くて、期待だけで動いた相場は、実態が追いつかないと結局揺り戻しが来やすいにゃ」
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じゃあ、今盛り上がっているものは?

過去の話は分かったけど、今まさに盛り上がってる業種にも、同じことが言えるのかな?

いい質問にゃ。2026年時点で特に話題になってるテーマを挙げると、こんなところにゃ
量子コンピュータ:AIの計算能力が電力・半導体の限界に近づく中、『次のブレイクスルーは量子コンピュータだ』という期待で資金が集まってるにゃ。ただし、専業企業の多くはまだ赤字が続いている段階にゃ
フィジカルAI・人型ロボット:『将来は一家に一台、人型ロボットを持つ時代が来る』という期待で、工場や産業向けを中心に開発競争が進んでるにゃ
核融合発電:AIの電力需要増加を背景に、再び注目度が上がってきているテーマにゃ
山田「これ、今日話してきたのと同じパターンに見えるね。技術的にはすごそうだけど、実際にビジネスとして収益を出すところまでは、まだ時間がかかりそう、っていう」
ナビネコ「まさにそこにゃ。だからと言って『これは来ない』と決めつけるつもりもないにゃ。大事なのは、今回学んだ視点をそのまま当てはめて、『この技術は今、ハイプサイクルのどのあたりにいるんだろう』『実際に収益化するまで、どれくらいの時間軸を見込んでるんだろう』と、一歩引いて考えてみることにゃ」
山田「気になるテーマがあったら、自分でもっと詳しく調べてみたいな」
ナビネコ「それなら、以前紹介したDeep Researchを使うと、気になる業種の最新動向や主要企業をまとめてリサーチしてもらえるにゃ。今日の視点と組み合わせて使うと、より冷静な判断がしやすくなるにゃ」
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山田「答えを教えてもらうんじゃなくて、自分で見極める視点を持つ、ってことだね」
ナビネコ「そうにゃ。この記事の3Dプリンターや自動運転も、当時は『絶対来る』と信じられてたにゃ。今盛り上がってるテーマも、10年後に振り返ったとき、今日のこの記事のどちら側に入るかは、正直誰にも分からないにゃ」
投資家として学べること
山田「これ、これから投資する上でどう活かせばいいんだろう」
ナビネコ「一番の教訓は、『技術的にすごい』ことと『すぐに大きな利益を生む』ことは別物だと意識することにゃ。ニュースやSNSで『これから来る!』と盛り上がってる話ほど、一度冷静に『これ、実際に普及するまでどれくらい時間がかかりそうか』を考えてみるといいにゃ」
山田「盛り上がってる時こそ、一歩引いて見る、ってことだね」
ナビネコ「そうにゃ。逆に言えば、一時的に『期待外れ』と言われて株価が下がった技術の中にも、時間をかけて本当に定着していくものもあるにゃ。目先の盛り上がりや失望に一喜一憂せず、長い目で技術の普及曲線を見る視点を持っておくと、こういう波に振り回されにくくなるにゃ」
山田「今日話した業種、実際に個別銘柄まで見てみたくなったよ」
ナビネコ「気になる業種が見つかったら、証券会社の銘柄スクリーニング機能などを使って、実際の決算や財務状況まで確認してみるといいにゃ。話題性だけじゃなく、数字の裏付けがあるかどうかも合わせてチェックする癖をつけるにゃ」
管理人より:新しい技術への期待と、実際の普及スピードには、しばしば大きなギャップが生まれます。今回取り上げた業種の振り返りや、現在話題のテーマへの言及は、あくまで当時・現在報じられている一般的な予測や動向を紹介したものであり、特定の銘柄や業種への投資を推奨・否定するものではありません。技術の将来性を判断する際は、話題性だけでなく、実際の普及スピードや収益化までの時間軸も含めて、多角的に検討することをおすすめします。


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